1981年 発行
図版 131点 オールカラー掲載
単色ページに解説を掲載

■本書序文■
古染付と祥瑞は、呼び名からうける親しみにくいイメージとは異なり、
形、絵付ともに斬新、洒脱で、豊かな表情をたたえた焼物です。

江戸時代初期、平戸や長崎出島にオランダ、中国などの商船が盛んに出入りし、
数多くの陶磁器を荷揚げしましたが、その中に日本人の趣向をくんだ一群の染付磁器がありました。

それが古染付と祥瑞で、茶を愛好した豪商や武将らが競って手に入れようとしました。

わけても珍重されたのが茶具関係の古染付・祥瑞で、これらは桃山茶陶を代表する織部焼をモデルとし、
さらに武将で茶人の小堀遠州の好みもとり入れて、つくられたといわれます。
「このように古染付と祥瑞は、大航海時代の中で発展を見せた国際的な貿易と文化交流の中で、
日本の黄金時代を築いた桃山文化と、世界一を誇った中国・景徳鎮窯の製陶技術が出会い、
結びついてできあがった美術工芸品であるといえましょう。

古染付・祥瑞は、やがて日本に根をおろすと、そのころから生産が始まった伊万里焼や、
古九谷の手本になるという役割をも果たすことになりました。

本展は、このような生い立ちをもつ古染付と祥瑞の美と魅力を展覧するとともに、
織部、伊万里、古九谷とのかかわりをさぐり、そこに日中両国の陶磁文化の歴史的交流を、見直そうとするものです。

状態：中古　概ね良好

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